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「インド仏跡巡礼の旅 インド・ショートトリップ」

「今冬がインドへ行くチャンスだ」。秋の入り口に、ふと思い立った。ひとくちにインドとはいっても、広大な国土に、魅力的な場所が広がっている。どこがいいかなぁ。そんなことを思いながら、ぼんやりといくつかのプランを思い描いてみた。

私の場合、仕事の関係上、時期と期間が一番の問題であって、7日間の行程が限度のように思われた。一般的にインドのパック旅行の場合は10日〜2週間で組まれることが多い。この点が私のインド行きのネックとなっていた。ならば最短の行程を自分で組めばよい、そう昨年バンコクに行った時に思ったのだった。日本からだとインドはずいぶん遠いイメージがあるのだが、ちょっと視点を変えて、たとえばバンコクを出発地とするならば、わずか2時間半。1泊2日で十分にいけそうにも思えてくる。ちょっと先のイメージになる。実際に、バンコク発2泊3日コースなどが設定されているのだ。

今回は、いろいろとプランを考えたが、結局仏跡巡礼ということで決定した。とはいっても、釈尊(お釈迦さま)の生涯に因んだ四大仏跡(誕生・成道・初転法輪・涅槃)を巡るだけでも(他に八大仏跡などがある)相当な距離とそれに応じた日数がかかってしまう。最短日数でより深い体験をするためには移動をできるだけなくしたい。行った、見た、次に行った、見た、という確認作業の旅にはどうしてもしたくない。

この世で最も重要な仏跡である成道の地「ブッダガヤ」だけに限定し、ここを中心にいくつかプランを加えてみた。最低ブッダガヤを巡礼すればインド行きの目的は達成されると考える。最短、かつ刺激的に、ブッダガヤまで行くには?一般的には、デリー→パトナ辺りから入るのが多いようだ。最短を考えた場合には、バンコクから直行でブッダガヤに入るルートも冬期には設定されている。そこでこんなルートを考えてみた。

まず航空機だが、直行便と経由便とがある。が、直行便とはいえ、日本国内での乗換え、インド国内での乗換を考えてみると、3回乗り換えることになる。国内で乗り換えるよりもアジアで乗り換えたほうがいいのは当然だ。そこで、タイ航空、韓国アシアナ航空、香港キャセイ航空などが候補にあがるわけだが、タイの空港が一番魅力的に思える。かつ、コルカタという魅力的な都市へ遅くない時間に直接乗り入れることができる。

コルカタ−ガヤとガヤ−バラナシの都市間の移動は、列車を使うことにした。列車こそ旅の気分を盛り上げる必須アイテムだと考えているからで、海外の場合列車を使うことで予定が狂う可能性は高いのだが、魅力は捨てがたい。特にインドの場合には半日ほどは当たり前に遅れるとも聞いていた。

昼に福岡を出発し、なんと、その日の夜21時にはインドに着く。コルカタ泊でゆっくりして夕方の列車でガヤに向かうというものだ。ブッダガヤで3泊。バラナシ(ベナレス)で1泊し、バラナシ発タイ航空でバンコクに戻るコースとなる。機中泊を含め6泊7日の旅だ。なお、インド人の現地ガイド(日本語OK)を付けることにした。

とりあえず、まわりの方に誘ってみるが、実際の参加となるとやはり難しいようだ。念のため、一人でも行けるのかを聞いてみると、それは問題ないということだったが、同じ町のS寺住職のK氏が参加したいと申し込まれたので有り難かった。さらにK氏の長男のM君もぜひ行きたいとの申し出があった。なんとM君は中学1年生。ごく少人数だがおもしろそうなメンバーが集まって楽しみになってきた。



初日 12月18日(土) 福岡〜バンコク〜コルカタ

出発の朝がやってきた。
少々喉の痛みがあったので前日耳鼻科を受診して、抗生剤と頓服の解熱剤を処方してもらった。扁桃炎を起こしやすいのでそれだけが気にかかるぐらいで、体調は万全、気分は高揚している。福岡空港には早めの9時前に到着した。出発は11時45分。タイ到着は15時05分。(時差2時間)

タイ航空にて、バンコク・スワンナプーム国際空港に向かう。飛行時間5時間ほどで、バンコク到着。12月なのに流石この暑さ。近代的な国際空港でトランジットの時間が5時間ほどあるので食事をするなどしてゆっくりと過ごす。パッガパオを注文。これぞタイ。旅の気分を盛り上げる。

搭乗時間近くになり、C10という先端にある搭乗口へ向かう。夜20時バンコク発。コルカタには21時05分に到着する。(時差1時間半)

もう日も暮れてしまった。日本からタイに向かう飛行機とはずいぶん客の人種が異なって、一気にインドの雰囲気が漂ってきた。乗客の8割はインド人であろう。東アジアの人間はぐっと少数派になった。日本人はおそらく我々3人だけだ。

ここからインドの玄関口コルカタまで2時間半。インド人は、客室乗務員に注意を何度も受けながらも離陸直前まで電話をかけて大声でしゃべっている。一体こんな直前まで何をしゃべっているのか。しかもそれが決して一人ではないことに多少驚く。飛行中も大男たちが大声を張り上げ、賑やかな機内だ。機内食は当然カレー笑

真っ暗な闇の中、コルカタの空港に到着した。

後ろの出口からタラップを使っておりる。そこへボロボロのエアインディアのバスが迎えに来た。車内は電灯も灯されていない真っ暗なバス。

そしてイミグレーションは、使われなくなった体育館のような片隅のような場所だ。いきなりの入国審査。「サミルトンホテルというのはコルカタ市内か?」「そうだ!」「分かった。行け」みたいな感じで入国。一応、入国前にもセキュリティを通るようになっているもののほとんど意味はないようだ。さて、バッゲージを受け取りにいくが、バンコクでトランジットしているために一抹の不安が。ちゃんと出てくるだろうか。

しかしながら、待てど暮らせど全く出てくる気配がない。出てくるのは大型テレビや電化製品などのやたらでかい荷物ばかり。1時間を経過すると待っている人の中にも疲労感が。私の隣にいた台湾の女性もどうなっているのか、と座り込んであきらめ加減になっている。でかい荷物を受け取った彼らはその辺り一面に梱包をはぎ取って捨てていっている。おかげでそのあたりはゴミだらけだ。

2時間ほどまっただろうか、ようやく我々の荷物がでてきた。「やれやれ。けど出てきただけでよかった。」

最後の出口の所に両替所があったので円をルピーに換金。これもやたら時間がかかる。一人やっては係が交代し、一人やっては係が交代するという超省力モードでやっているのだ。インドの時間感覚なのだろう。とにかくあきらめて待つに限るようだ。

ようやく空港をぬけて、今回の現地係員のラビンドラ・タネージャさんに会うことができた。ターバンを巻いた典型的な大柄のシク教徒だ。一見こわもてだが、話してみるとやさしくユニークな方でほっとする。「出てこないかとおもいましたよ。テロもありましたしね。」「前のお客さんも言っていました。飛行時間1時間。到着して2時間(笑)。」

そう、インド最大の聖地バラナシのガンジス川沿いのガートで、10日前に爆弾テロがあったばかりだった。現地の情報によるとこのテロで40名ほどが死傷したもよう。

空港に横付けされたバンに乗り込む。空港から出た通りの雰囲気は、今まで経験したアジアとはまるっきり違っている。ところどころに薄明かりが灯る薄暗い道。車に乗ってその薄暗い中をばく進する。薄暗い街頭の中、靄がかかり、よく目を凝らしてみると道の脇では人々が蠢いている。「インドだ。とうとうきたぞ」。20分ほど走るとなんとなく街中に入ってきたようだと思ったら、今回のホテルに到着した。旅費を下げるために星を下げさせたことをちょっと後悔するような雰囲気が漂う。パスポートを預け、チェックイン。パスポートは後から部屋にもってくると言う。

ホテルの下には飲み屋かディスコがあるようだ。大音量で音楽がかかっていて下からズッコンズッコンうるさい。おまけに薄っぺらな壁の向こうは通りに面していて、クラクションやら大声やら響いてくる。寝ている時にパスポートをもってこられてもちょっと困るなと思って、ロビーに行って「パスポートをくれ」と言うが、「ノープロブレム!!ノープロブレム!!」。「1時間後か?30分後か?」。「朝には返す。ノープロブレム!!」。さぁ出たぞインド名物「ノープロブレム」。ノープロブレムはプロブレムじゃないのか!現地時間深夜2時、眠りにつく。

text by Tsunenori Ito.

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